「アジェンダ文化」がオランダ経済を救う?

オランダにやってきた外国人(そして日本人)がまず驚くのは、なんにでも予定を入れること。コーヒーをいっしょに飲みに行くアポ、子供が放課後にいっしょに遊ぶアポ、数え上げたらきりがない。何かをしようとするときに、いつでも「じゃあアポをとろう。スケジュールを決めよう。」というのが決まりの国民だ。そしてアポや約束事があったら守るというのも国民性だ。Rabo銀行の経済部トップのメノ・ミデルドルプ氏によれば、この「アジェンダ文化」がポストコロナ時代にぴったりだという。

動物園に行こうとしたら、予約制で午後の遅い時間になった。でも人混みを避けてゆっくりと回ることができた。理容室も予約制なので長いこと待つ必要はなかった。とミデルドルプ氏。ただ、これからレストランに行こうとウェブサイトを見ると行きたい日時は一杯でなかなか予約がとれない。レストランに一度に入れる人数の制限もあるし、テーブルとテーブルの間を1.5メートル開けねばならないというルールもある。これまで金曜日の午後7時に50人の顧客を入れていたレストランも30人しか予約を入れられない。
しかし、これはある意味チャンスなのでは? と同氏。
これまでピーク時にのみたくさんの人が予約していたが、これができなくなると、例えば午後4時に夕食予約をしたり、月曜日の午後10時に入れるしか選択の余地がなくなる。これは、1日の予約時間帯を広げるということで、これまで人が来なかった時間にも予約が入るということでレストランにとってはプラスなのだ。

ただし問題は顧客側。午後4時に夕食を食べる気がするかどうか。わざわざこの時間に行くメリットもあまりない。
そこでレストラン側は時間帯による価格差別化をすればいいのだ、とミデルドルプ氏はアドバイスしている。ホテルだってピーク時は高いけれどもオフシーズンは安くなる。同じことをレストランもすれば、オフピーク時にも予約が入るはずだ。オランダ人独特のアジェンダ文化はオランダ経済を救う可能性を秘めていると同氏のコラムは結んでいる。