グリーンディールでもオランダのエネルギー費は変わらず

欧州委員会は2019年12月11日、2050年の温室効果ガス排出量をネットゼロ、2030年の排出削減目標を現行の90年比40%削減から、50%削減に引き上げ、さらに55%減も目指すなどを盛り込んだ「欧州グリーンディール(EGD)」構想を打ち出した。

今回欧州委員会のグリーンディール担当はオランダ人議員ディードリック・サムソム氏だ。同議員は、この目標を達成するためのオランダのエネルギー政策の変更によるエネルギー費の増加は心配する必要はないと述べている。ただ、航空業界には燃料あるいは二酸化炭素排出に税金がかけられるため、空の旅は高くなる。

欧州グリーン・ディールには、広範囲に及ぶ森林の植林、省エネの家屋の建設、電気自動車のための電気供給スタンドを数百万台設置するなどが含まれている。オランダではすでに実施されているが、新案では、欧州どこの国でも毎月一定金額で電気自動車がリースできるシステムが構築される。

このため、欧州投資銀行はこのようなプライベート・リースシステムが可能になるように、東欧諸国において安い金利で車のディーラーに貸付を行う必要があるとサムソム氏。

さらにEUでは夜行列車のネットワークを強化する計画だ。これにより、欧州域内での移動が航空機によるものと同等になるはずだとしている。現在では格安航空券で列車より安く移動が可能で、これによる大気汚染が大きな問題となっている。

さらに、カーボン・ボーダー調整と呼ばれる、大気汚染物質のEU内への輸入関税も新案に含まれる。2021年中頃からEU域内に輸入されるときに、CO2税が課せられる。これは欧州内の製鉄業を守るという目的もある。
EUの新顔であるサムソム氏(労働党)は、「地球を守るのが使命」だと、新しい職に意欲を示している。