温暖化でヤブ蚊やマダニなどの熱帯の害虫がオランダにも侵入

かつては南欧にだけ生息していた人間に害を与える毛虫やダニなどが北上し、オランダでも問題化している。ワーヘニンゲン大学の生物学者でギョウレツケムシ情報センターの長であるファン・フリートによれば「ヨーロッパの自然界で大移動が起きている。」bそうだ。ベルギーのアルデンネ地方ではマツノギョウレツケムシが繁殖し、この毛はオランダの樫の木につくギョウレツケムシよりタチが悪いという。またアジア原産のヒトスジシマ蚊(Tiger Mosquito)もオランダに潜入しており、チクングニア熱やデング熱を発症させる原因となっている。

さらにマダニにも注意が必要だ。イボマダニ(Reuzenteek)と呼ばれるこのマダニは、人や動物を刺して血を吸いライム病を引き起こしたダニとはまた別の種類で、主として大型動物や人間を攻撃し、クリミア・コンゴ出血熱を引き起こすウィルスを持つ。これまでこのダニはアフリカとアジアそして南欧、東欧に生息していたが、今ではドイツでも発見されている。ツゲの木につく蛾も最近オランダに侵入してきた。この蛾にやられるとあっという間にツゲの木は丸裸に食い尽くされる。

害虫の北ヨーロッパへの大移動には、飛行機や車による人の移動が一要因となっているが、地球温暖化が一番の原因だ。オランダは100年前に比較して平均気温は2度も上昇している。50年前のフランス中部の気温だ。もうひとつの原因は、オランダ内の生物多様性(Biodiversity)が減っていることがある。例えば、大量の昆虫の消滅がある。これにより一種類の危険な生物が繁殖する可能性が高まる。

温暖化の影響は花粉症患者の増加にも見られる。さらに、日射時間の増加による皮膚がん患者の増加も同様だ。