オランダ、明日から銀行口座情報と金融アプリが相互シェア、便利さと危険が背中合わせ

PSD2(決済サービス指令)というあまり聞き慣れないEU指令が2018年1月に発令された。これによりEU各国が法律を制定するのだが、オランダでは明日からこれが施行される。PSD2とは、フィンテック(金融テクノロジー)と銀行間の連携に関する法律である。これまで銀行の口座情報は銀行内のみで保存されていたが、新しい法律が施行されると(口座保持者の許可は当然だが)第3者に口座情報を与えることができる。

いったいこの法律が何を意味しているのか? オランダ国営放送NOSが説明している。例えば、オンラインで家計簿をつけているとしよう。この内容の公開を許可するとオンラインサービス提供会社が銀行に情報を提供することができるという。これにより個人の支出パターンがわかるようになる。またこの逆もありうる。つまり金融機関とフィンテック企業の連携が図られることで消費者はより便利になるはず、というのがこの法律の意図らしい。

しかし、便利さの裏には危険も潜む。フィンテック企業(アプリ)が持つ情報は非常にデリケートなもの。例えば、精神科医にかかったときの支払い、慰謝料の支払い、酒代がかさんでいるといった秘密にしておきたい情報が明るみに出される。

このPSD2は非常に複雑な法律となる。オランダでは金融市場を監視するACMや競争ウォッチドッグであるAFMそして、オランダ中央銀行DNBとそして個人情報保護機関が関与するため、一筋縄では行かない部分も多い。

金融サービスに関しては欧州は世界で最も先行しており、日本もフィンテックと銀行の連携を検討しているらしいが、今後の動きが見守られる。

参考記事 (NOS)