フリーランスの美容師としてオランダで起業した小野寧子さん

フリーランスの美容師としてオランダで起業した小野寧子さん

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ロッテルダムの美容室で「椅子を借りて」自営で美容業をしている小野寧子(やすこ)さんにお話を伺いました。P:ポートフォリオ、O:小野寧子さん

P:オランダにいらしたきっかけを教えてください。

O:オランダに来る前はロンドンで働いていました。ロンドンではワーキングホリデーという制度を利用して、2年間美容室で働きました。このビザは2年間有効だったのですが、これが切れる前に他の国で働く可能性を探していたところ、オランダで起業家ビザというのが取りやすいという話を聞きました。オランダにはその前にも旅行で来たことがあり、フレンドリーなオランダ人とリラックスした雰囲気が気に入っていました。そこで、エージェントを通してビザを申請したところ昨年2017年の9月に個人営業者としてのビザが取れたのです。

P:ロンドンの前は何をなさっていたのですか?

O:神戸で10年,美容師として働きました。自分で決めた仕事の10年継続を達成したので海外に出ようと思い、カナダでワーキングホリデー制度を利用し、語学学校に通いながら美容室で働くことにしました。カナダのトロントには1年おりました。カナダに居住しているとイギリスでのビザの申請が容易いこともあり、そのあとはロンドンで働くことになったのです。なぜ海外で働こうと思ったかですか? ロンドンにヴィダルサスーンという常に新しいヘアカットやカラーを発信している学校がありまして、美容学生時代からこのスタイルが大好きでした。日本で美容師をしている時にロンドンに二回ヴィダルサッスーンのコースを受けにいき、他の国の美容師さんとも関わる中で、日本以外でも美容師をしてみたいという目標ができたのです。

P:身一つでカナダ、イギリス、オランダへ移住するのはずいぶん勇気がいりますよね?

O: そうですね。カナダとイギリスは雇用されていたのである程度の生活は保障されていましたが、オランダはフリーランスですので、金銭的なリスクはありますね。オランダにはスーツケース2個で到着し、それから家を探し、仕事ができる場所を探しました。幸いロッテルダムのピクニックという美容室で、仕事ができるスペースを貸すいわゆる「椅子貸し」を提供していたので、すぐに契約し仕事を始めました。美容師は、スペースがあれば腕一本でどこでも仕事ができるという強みがあります。でもお客様を確保するまでは収入が一銭もないため最初のころは「明日のことはわからない」という状態でした。もちろん今でも毎日が予約で埋まっているというわけではないので、リスクはある仕事だと思います。

P:リスクがあっても美容師の仕事は楽しいですか?

O: 全くのゼロから始めましたのでお客様はつかず、貯金をくずして生活をするという日々が続きました。でもピクニック美容室にいる他の美容師さんからの紹介や口コミで次第にお客様が増えてきました。お客様はアジア系の人やヨーロッパの人、オランダ人も多く、仕事を通して色んな方と関わらせて頂けることがとても嬉しいです。ロッテルダムは外国人が多いためインターナショナルで、日本人に髪を切ってもらうのに何の抵抗もないようですね。

P: 日本人の美容師さんは人気がありますね。どこが違うのでしょうか?

O:日本人やアジア人の髪の毛は固くてストレートなため、カットがすごく難しいのです。カットしたラインが出やすいためごまかしがききません。そのため髪を切る前に、頭の形、髪質、そして毛流れなどを計算してからヘアスタイルをデザインします。また髪の毛が少し伸びてもヘアスタイルを保持しやすいようにも工夫しています。これは西洋人の柔らかくウェイブのある髪に慣れているオランダの美容師さんには難しいのかもしれません。 それと、ていねいなシャンプー。こちらの美容室では簡単に済ましますが、日本のシャンプーは丁寧に時間をかけてやりますよね。これが大好きというオランダ人のお客様も多いです。

P: お客様に感謝されるのは一番励みになりますよね。

O: 再来してくださるお客様に「自分でも手入れがしやすかった」などの褒め言葉をいただくのは本当にうれしいです。もうひとつこの仕事で楽しいのは、いろいろなお客様との出会いです。お客様からも、ただ ” 髪が伸びたから美容室にいかなきゃ” ではなく、気分転換やリフレッシュなど楽しみの一つとしていただけることを目指しています。

P: オフの時間はどうやって過ごされてますか?

O: 日本にいるころから雑誌用にモデルさんの撮影などをやっていたので、写真を撮るのは好きです。ロッテルダムでは湖の周りの散歩も気に入っています。あとはビール。オランダのビールは美味しいですね。 時間があればカフェに行ってビールを飲みながらいろいろな人に出会のが楽しみになっています。

P: 将来の計画についてお聞かせください。

O: 今のビザは2年間ですが、その後更新してここにしばらく腰を据えたいと思っています。フリーランスという形は初めての試みでリスクや怖さもありますが、全部楽しみながら、少しずつ自分の仕事のスタイルを見つけて、将来結婚、出産(?!)しても長く続けていきたいと思っています。

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