子供のためのサイエンス教室を開催する福成海央(みお)さん

子供のためのサイエンス教室を開催する福成海央さん

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前回ご紹介した福成さんの奥様である海央さんにもインタビューしました。

現在はご主人と共同運営をされていますが、実はサイネスを始めたのは海央さんです。ワークショップのあとに、アムステルフェーンの公民館のカフェで3人のお子さん(2歳、4歳5歳、7歳)を遊ばせながらお話をしてくださいました。P:ポートフォリオ、M:福成海央さん

P: サイネスを始めたきっかけを教えてください。

M: :日本にいるときから、子育ての合間に児童館や学童クラブなどで子ども向けの科学教室を開いていました。子どもが生まれる前には、環境教育関係のミュージアムに勤務、その後日本科学未来館にて科学コミュニケーターとして活動していました。もともと大学では海洋生物学を専攻し、こどもの野外活動の支援などにも参加していました。子どもが生まれてからは、フルタイムの仕事は辞め、科学記事の執筆や研究者支援活動、そして近所の児童館や学童クラブで教えるという仕事をしていました。オランダに移住してからも、なんらかの形でこれを続けたいと思い、サイネスを始めました。

P:  見ず知らずの土地で新しいことを始めるのは大変だったでしょう?

F:2016年にオランダに来たのですが、たしかに生活に慣れるのが最初の仕事でした。少し落ち着いてから2017年9月に、子どものためのお料理教室を開いていらっしゃるクッキングキッズさんとコラボさせていただき、サイエンスクッキングのワークショップを開催したのが、サイネスを始めるきっかけとなりました。10月からは、主人がプログラミングやロボットなど小・中学生向け、私が幼児~低学年向けの科学全般と内容を分担し、本格的に活動を開始しました。幅広い年齢層にサイエンスを楽しんでもらえるように、様々なワークショップを開発・実施してきています。

P: ご主人の福成洋さんは、ご自分の意思で日本の会社を退職しオランダに移住なさったのですが、海央さんは積極的に賛成されこちらにいらっしゃったのですか?

M: 実は、私はそれほど海外志向ではなかったのです。日本で自分が築いてきたキャリアや、これから日本でやりたいと思っていたこともありました。ただ、主人のオランダへの移住希望は以前から聞いていましたし、この機会を逃したら後はないと思い、家族で移住に踏み切りました。実際には自分の語学力の無さや、子供たち3人連れての生活に不安だらけでしたが、来てみたら思っていたよりも楽しく過ごせています。

P:日々の生活、お子さんの学校など、オランダと日本との違いはいかがですか?

M: 聞いてはいましたが、日本と比べてオランダの生活はあらゆる面でシンプルだなと思います。毎週のように新商品が出る日本とは違い、最初は少し物足りなさも感じました。今では逆に日本の生活のめまぐるしさを感じ、それに振り回されていたなと思うところもあります。 こどもたちは現地校に通っています。言葉の面でつまずくこともあるようですが、クラスメイトにも温かく迎えてもらい、毎日楽しく通っています。きっと、様々な人種やバックグラウンドの人たちを受入れているオランダの社会も背景にあるからでしょうね。とてもありがたいです。

P: ご主人はお子さんが自立できるようになるまでオランダに在住したいとおっしゃっていらっしゃいますが、海央さんも同じ気持ちですか?

M: あら、そんなことを言ってました(笑)? 私は最初3−4年かなあ、と思ってやってきました。ただ、心配していたよりもオランダの生活が快適に過ごせていること、サイネスを始めて日本ではできなかったキャリアが積めていることから、少し腰を落ち着けて、オランダでしかできないことにチャレンジしてみたいとも思っています。

P: 今後の展望についてお聞かせください。

M: ワークショップをハーグやロッテルダムあるいはベルギーなどの近隣国でも開催したいと思っています。日本では最近サイエンス関係の習い事も増えていますが、おそらく海外にて日本語で受けられるサイエンスワークショップというのはほとんどないかと思うので、他の場所でもそういう機会を提供できたらいいなと考えています。また社会と科学をつなぐ科学コミュニケーション活動も視野にいれていきたいです。具体的には、研究者と直接話をするイベントをしたり、科学の力で未来や社会がどう良くできるかということもワークショップに取り入れられたらと考えています。オランダにも留学や研究でいらしている日本人研究者の方が多くいるので、そういった方たちとも今後つながっていきたいです。 また、オランダにご主人の仕事で滞在しているいわゆる駐在ママの中にいろいろな才能やスキルをもっているかたがたくさんいらっしゃいます。ワークショッププランナーとして、サイエンスに限らずそういったかたがたに機会を提供し、教える側に立ってスキルを発揮させてもらうようなこともできたらいいなと思っています。

サイネス(Scineth)